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宝の地図

Posted by ikiya on 10 December 2020 in Japanese (日本語).

Map

【宝の地図】

子どもの頃、地図と聞くと学校の街歩き体験で作る地域マップや宝の隠し場所を示す宝の地図が思い浮かんだものです。

何と言っても聞いてわくわくするのは宝の地図でしょう。王様、海賊、お殿様の隠された財宝、それらの隠された場所を示す謎解きのような古地図、フィクション物語や昔話によく出てきます。

今では暮らしを支え、社会のインフラとして注目を浴びる“地図”ですが、暮らしとのかかわりを考えるとき、人はいつも地図の中で宝探しをしているように思えます。

地図の中で探すのは、お店やレストラン、最寄りの駅、待ち合わせ場所、病院までの道案内、あるいは学術的な答えなど、その宝箱は、その人、その時によって様々です。

私は、誰もが自由に地図を編集、利用できるオープンデータの地図(地理情報)を作る世界プロジェクト オープンストリートマップ(OpenStreetMap)に参加し、地図を描いてきました。世界を見渡すと、現代でもまだまだ地図の整備が進んでいない地域があります。また自然や暮らしの変化によって地形や街並みは変わるので、多くの場合、地図は描き替えを続けなくてはなりません。

世界各地の地図を描いていると、宝の地図を描いているような感覚にとらわれます。地図の整備が進まない地域では、道路、鉄道、川、街並み(学校、病院、お店、レストラン)などあらゆるものを描きます。 生活の基盤となる幹線道路、鉄道、公共施設、人気のお店や有名レストラン、観光スポットは、地図中で多くの注目を浴びます。それらは目的を持って地図を眺めた多くの人の目には、輝いて宝物の様に映るでしょう。 その一方で、何気ない一軒の建物、一本の細い道も、ある日、その人にとって、暮らしの中で輝く宝物になるかもしれません。

地図に記され、表現されている世界中の対象ひとつひとつが見る人にとって宝探しの宝物に変わる可能性を持っているのです。恋人と待ち合わせをするためにあなたが探したその美味しいレストランが、地図の上で輝くのは容易に想像できます。

あなたも宝の地図を描いてみませんか。


この文章は、今年3月発行 農村計画学会誌38巻4号のエッセイ「土のこえ」に書いた文章です。今号の特集が地図ということで巻頭のエッセイを書かせていただきました。 農村計画学会

2020年初めに書いた思い出の文なのでここに載せました。 (出典表記で文章の引用可を確認しています。)

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