OpenStreetMap

IngressとResourcesとOSMと

Posted by Hokko-sha on 5 December 2017 in Japanese (日本語)

2017年12月、スマホゲームIngressのスキャナー上地図がOSMのデータに基づくものに変更されました。 このタイミングで、自己紹介と自分語りなどを長々と。 北海道北見市で、Hokko-sha(北光社=廃止された旧ふるさと銀河線の北光社駅から取っています)という名前でほそぼそとマッピングを続けています。

2014年11月上旬にIngressを始め、いつの間にかゲームを通じて仲間も増えたりしてぼちぼちとやっておりました。 Ingressのエージェント(プレイヤーをこう呼びます)は主にGoogle+(以下G+)というSNS上でコミュニティを形成して情報交換や交流を行っており、G+は多くのエージェントにとってIngress専用SNSと化していますが、G+でよく見かける穴掘りゲームとやらに興味を持ってインストールしてみたのが2016年1月。

穴掘りゲー、正式名称はResourcesといい、ドイツの開発者がリリースしているAndroid限定のGPSゲームです。 各地でスキャンして鉱脈を探し、その位置で鉱山を掘って会社を拡大し資金を増やしていくというものですが、同じくGPSゲームであるIngressとは親和性が高いのか、かなりのプレイヤーがIngressと兼業しているため、Ingress界隈でよく情報を見聞きすることになります。

ResourcesはOSMのマップタイルを使用しています。 複数ある選択肢から、一番見やすいと思ったMapnikというものを設定。 他にはOSM Outdoors、OpenCycleMap、OSM Humanity。全部OSMのマップタイルのバリエーションですね。 最初はそんなことはわからず、ただ起動してみて、道路と線路と川と森林しかない情報量の少ない地図だなと思っただけでした。 しかも道路が全般に5mぐらいずれている。直径20mの穴を掘るという設定のゲームでこの誤差はなかなか致命的ですが、田舎だしこんなもんだろしゃーねーなと深く気にせずに、あちこちうろついて穴を増やしておりました。 スクロールして札幌とか都会を見てみると、建物やPOIがいっぱい描かれている。都会は違うなあ。 今の知識で書くと、当時のOSM上の北見は、YahooALPSなどからインポートされたままの道路や河川や森林があるだけの状態だったということです。

ある時Resourcesが起動するけど地図が表示されないということがあり、数時間で復旧したのですが、コミュ内の情報で「OSMの参照リンク先が変わったのが原因らしい」(←うろ覚えなので正確じゃないかも)というのを見かけ、そういえば設定画面のこのOSMって何じゃらほい?と検索してみたのが、OSMとの出会いでした。

正式名称はOpenStreetMap、ユーザー登録すれば誰でも編集できるの?

この道路がずれてるのも私が直していいの?

試しにユーザー登録、認証したのが2016年7月のこと。

ブラウザで編集というボタンを押して、最初はiDで少しずつ編集を始めました。

JOSMというアプリを使えばもっと高度なことができるらしい、ごっそりずれてる道路をごっそり修正することもたぶんできそうだけど、よくわからないのでiDで航空写真に合わせて道路を1本1本修正。

よくわからないので当時は最初に出てくるBing合わせです。今思えば初心者の見本ですね。

直した箇所が数分から数時間でResourcesの画面(Mapnik)に反映されます。

自分がやってるゲームの不具合(ただし地図表示に限る)を、自分で直せるんです。

道路沿いに掘った穴がずれているように見えてたのが、道路を直したらまっすぐ道路沿いになるんです。

ちょっと直してはスマホ立ち上げて確認して感動。

ゲーム上の地図を自分で完全なものに育てていくこの感覚にはまりました。

Ingressのポータル申請にも、ゲームのフィールドを作りあげることに参加できるという快感がありましたが、地図自体を書き換えられるのはポータル申請の比ではない快感。

迷う度にググりながら、少しずつOSMのタグを勉強して地元の編集を続けました。

最初はIngressのポータルのおかげで完璧に頭に入っている、ローソンと郵便局と神社を手当たり次第に追加。

この時は建物が全然トレースされてない状態だったので、全部ノードで追加です。後でかなり手直しすることになりました。

建物のトレースのやり方を覚えたけど、でも道路が5mもずれて航空写真の建物に被ってしまってるのでは、何に合わせればいいのかわからない。

面倒だけどやっぱり道路を修正することが最優先。

今日は〇〇町と〇〇町…というふうに、字区切りで毎日少しずつ道路を航空写真に合わせながら、存在してるのに地図に描かれてない道路を追加するというお仕事を続けました。全部Bing合わせでw

地元の道路をだいたい直して、次に何やるべかと考えて、学校と公園を描いていくことに。これらを描き込むとだいぶ地図らしい立体感が出てきたなーと自己満足してニヤニヤ。

あとは道路の通り名を付けたり、目立つ建物ということで団地などの集合住宅を描いていったり。

JAVAを入れてJOSMも入れて、最初はこんなん超ガチツールじゃんと思ったJOSMデビューして、でもプラグインとかまだよくわからなかったので、建物描くのがめんどくさくてめんどくさくて手が進まない。

Ingressではわりと僻地担当な感じだったので、頻繁に行ってた知床あたりを修正したり、過去のGPSログを探し出して登ったことのある山の登山道をトレースして描いたり、とにかく計画的にみっちり描いていくというよりは気が向いた時に気が向いた場所で気が向いた事物を描くという感じでやってました。

明日温泉に泊まりに行くから宿のトレースだけ先にしておこう、とか。

そして宿に着いてResources立ち上げて、ちゃんと描かれてるなーとニヤニヤ。楽しい。

Resourcesでゲーム上の本社を置いて集中的に穴掘りをする場所だけ、妙に細かく住宅から畑から全部トレースしてみたり。

そうこうしてるうちに、道内各都市をローラー作戦的に建物描き潰していらっしゃるベテランマッパーさん(海外の方だそうです、なぜずっと北海道のマッピングをされてるのかは不明…)の動きが地元に巡ってきました。

編集が競合してもイヤなので、市内のマッピングはしばらくお休みして様子見。土地勘のある近隣町村を描いたり、道内の山頂ばかり描いてたり。

1日何時間描いてるんだろう?というスピードで、私が描いた目立つ建物がぽつぽつとあるだけだった地元が、建物で埋まっていきました。

私が迷いながら描いた道路や建物も、だいぶ直していただいたようです。

地元地図の現在の完成度は、ベテランさん2:私1の貢献度といったところでしょうか。

2017年3月ごろ、ベテランマッパーさんの市内の動きが一段落したところで、解体済みなので敢えて描かなかった建物が航空写真にあるからって追加されてるのを削除するなど。

やはり地図である以上、地元の土地勘は大事だと思います。

そしてベテランマッパーさんが地理院オルソ画像を使っていたので、合わせたほうがいいのかな?と思い、私もようやくJOSMに設定してオルソ画像を使うことを覚えました。

今までずっとBingトレースしててごめんなさい…

雪が解けてからはバスマッピングなど。

バス会社のサイトやバスマップでバス停チェックしておいて、OSMTrakkerでバス停ごとにウェイポイント打ちながら走りました。

バスマッピングで普段滅多に走らないルートを走りながら、ついでにバス停に停まる度にResourcesの鉱脈をスキャンしてたら、非常に良質な鉱脈を発見してゲームが大きく進みました。

Resourcesがきっかけで始めたOSMのおかげでResourcesが更に前進するループに、感動した瞬間です。

OSMやってなければ、バスマッピングしようと思わなければ、あんなとこわざわざ行かなかったでしょう。

一方Ingressでは、エージェントがポータル候補を審査できるポータルリコンというシステムが始まり、リコンで使う頭とOSMマッピングで使う頭が似た部分なので、マッピングが間遠になってしまったり。

それでもIngressで出かけた先で、スマホ2台持ちで立ち上げてあるResourcesや、ナビ代わりにタブレットで立ち上げてあるOsmAnd+(OSM由来のオフラインマップが使えるAndroidアプリ)の画面でマッピングの誤りや不足に気づいて、帰ってからその日に行った場所のOSMのデータを修正したり追加したりと、ゲームとマッピングが車の前輪と後輪といった感じの行動になっています。

今回IngressのスキャナーにOSMが採用されたことで、G+などのIngressエージェント界隈にはかなりの反応がありました。

私がマイナーゲームResourcesをきっかけにOSMという沼に足を突っ込んだように、はるかにコミュニティの規模が大きいIngressでの採用がきっかけで興味を持つ人が一人でも増えて、各地の地図がより一層充実していくことを願っています。

GPSゲームにはまりゲームのために各地に実際に足を運んで楽しもうという層には、地図自体も好きな人の割合が世間の平均よりは多いのではないかと思います。

私自身にとっては、右足つっこんでたIngressという沼と、左足つっこんでたOSMという沼は全く別のものだったのが、ある日突然二つの沼が融合して呆然としています。

沼っつーか池じゃんこれ。油断してると溺れるわ。

でもOSMでも編集1000件にも満たない初心者で、わからないことがまだまだたくさんありますが、それなりに両方の世界を知ってる者として、こっちの水も甘いぞ〜と誘いを掛けるのも努めというか、何かのご縁というか。

スマホゲームに興味のないマッパー先輩諸氏にとってはなんのこっちゃな駄文ではありますが、ゲームがきっかけでOSMへ飛び込んできたあるユーザーの考え方とか行動原理とか、OSMがゲームに与えるかもしれない影響とか、そういうものを多少なりともご理解いただければ幸いです。

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